椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)の実際
腰椎椎間板内ヘルニアの新しい治療
椎間板内酵素注入療法について
椎間板内に酵素を含んだ薬剤を直接注入して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。 この椎間板内酵素注入療法にヘルニコアという薬剤を使用します。
ヘルニコアについて
椎間板内に薬剤「商品名:ヘルニコア」を注入すると有効成分のコンドリアーゼが椎間板内髄核の保水成分を分解し椎間板内圧を減少させます。結果として神経への圧迫が改善し、痛みや痺れなどの症状が軽減すると考えられています。
本治療の利点
- 局所麻酔での治療が可能
- 傷跡が残らない注射による治療
- レーザー治療(PLDD)のような熱による凝固蒸散で椎間板組織を急激に破壊しない
- 健康保険を使用しての治療でありレーザー治療より治療費がかからない *
- 治療の適応・効果はレーザー治療とほぼ同様
*参考治療費用 レーザー治療(PLDD) 自費診療でおおよそ40〜50万円
治療の流れ
手術のおおまかな流れは下記の通りです。局所麻酔で行います。 |
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1. 午前中に入院します。 |
2. 病室にて点滴の準備をします。 |
3. 午後に治療室へ出室します。 |
4. 治療台に横になります。 |
5. 針をさす場所を決定します。 |
6. 消毒・局所麻酔を行います。 |
7. 椎間板内に針を刺しヘルニコアを注入します。 |
8. 検査室で30分間、お体の状態を確認します。 |
9. 病室へ帰室します。 |
10. 病室で3時間安静になり問題なければ当日もしくは翌日午前中に退院可能です。 |
上記は一般的な予定であり、個人差があります。 |
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)の注意点
- 投与によるアナフィラキシーの発現(かゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛、吐き気などの消化器症状、視野が狭くなるなどの視覚症状)の可能性があります。アレルギー体質の方はヘルニコアの治療に注意が必要です。
- 過去に椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)を受けたことのある方は、再度この治療法を受けることができません。
- ヘルニアの形や出ている位置によっては、椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)の適応とならないこともございます。
- 腰椎不安定症のある患者さん、またその疑いのある患者さんには椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)を行うことができません。
ヘルニコア以外の治療方法との比較
当院で現在行なっている治療との比較
手術の種類 | 術式名 | 麻酔方法 | 入院日数 | 保険適応 | 有効率 | 傷の大きさ |
内視鏡手術 | MED | 全身麻酔 | 6-8日 | あり | 90%以上 | 20mm |
内視鏡手術 | FED | 局所麻酔 | 3-4日 | あり | 80-90%以上 | 8mm |
椎間板内酵素注入療法 | ヘルニコア |
局所麻酔・鎮静 | 2日 | あり | 80% | 針穴程度 |
顕微鏡視下手術 | Micro LOVE | 全身麻酔 | 8-12日 | あり | 90%以上 | 35mm |