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腰痛

非特異的腰痛

腰痛のほとんどは、いわゆるぎっくり腰(急性腰痛症)や原因のはっきりしない非特異的腰痛の範囲に入ります。X線画像、MRIなどで骨や椎間板に変化が認められても多くは加齢に伴うものであり直接症状と関与しないものです。これらの変化を腰痛症状と結びつけて説明してしまうと多くの患者はショックを受けてしまい病的意識が知らず知らずのうちに精神的に刷り込まれてしまうことになります。
患者本人も腰痛症状が検査によって目に見える形で提示説明されると妙に信じ込んでしまいがちですが、MRIやX線画像などの検査で見つかる異常と腰痛の関係ははっきりと証明されているわけではありませんし、診断には限界があります。

腰痛ガイドライン

「腰が痛い」という症状全般への対応を、最新の科学的な知見をもとに使いやすくまとめたものであり、日本整形外科学会と日本腰痛学会による策定委員会が約900件の論文を吟味して2012年11月に作成しています。本ガイドラインでは、腰痛のトリアージ、腰痛の危険信号などの重要な概念が述べられています。
 

腰痛のトリアージ

腰痛の中にはがんや骨折などそのままほっておくと重篤な障害や生命に危険を及ぼす事態につながる可能性のある疾患が潜んでいます。しかし、前述したように腰痛の85%は原因のはっきりしない非特異的腰痛ですので、全ての患者に詳しい検査を行う必要はありません。そこで腰痛の診断、治療の優先順位を決めておく事が重要です。腰痛の診断治療の優先順位を仕分けして行く事を腰痛のトリアージといいます。腰痛患者が初診した場合に必要な事は、注意深い問診と身体検査により、腰痛を以下の3つのカテゴリーにトリアージすることです。

①危険信号を有する腰痛
②神経症状を伴う腰痛
③非特異的腰痛


腰痛トリアージの中でも最も重要なのが、重病のサインを見逃さない事です。腰痛ガイドラインでは重篤な疾患を見逃さないための、腰痛症状の危険信号を定めています。
腰痛の危険信号(レッドフラッグ)
「レッドフラッグ」というのは、転移性脊椎腫瘍、脊髄・馬尾腫瘍、化膿性脊椎炎、椎体骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、閉塞性動脈硬化症、馬尾症候群などの存在を疑わせる危険信号のことです。
全腰痛患者に占める割合は1~5%でしかありませんが、絶対に見逃すわけにはいきません。具体的にはこういうサインがあります。

発症年齢が20歳未満または55歳以上
時間や活動性に関係のない腰痛
胸部痛
癌、ステロイド治療、 HIV感染の既往
栄養不良
体重減少
広範囲におよぶ神経症状
構築性脊柱変形
発熱


危険信号については腰痛診療ガイドライン2012 日整会、日本腰痛学会より転載しました。