椎間板内酵素注入療法かレーザー治療 (PLDD) か

新しい腰椎椎間板ヘルニアの治療として、椎間板内酵素注入療法が国の認可を受け本年8月から可能となっています。

椎間板内に薬剤「商品名:ヘルニコア」を注入すると有効成分のコンドリアーゼが椎間板内髄核の保水成分を分解し椎間板内圧を減少させます。結果として神経への圧迫が改善し、痛みや痺れなどの症状が軽減すると考えられています。椎間板内減圧により治療効果得るものとしては、以前から行われているレーザー治療(PLDD)があります。治療の選択肢が増えたわけですが、どちらの治療が優れているかは現時点でははっきりとしていません。

ヘルニコア治療の利点は下記のようになります。

  • 局所麻酔での治療が可能
  • 傷跡が残らない注射による治療
  • レーザー治療(PLDD)のような熱による凝固蒸散で椎間板組織を急激に破壊しない
  • 健康保険を使用しての治療でありレーザー治療より治療費がかからない*
  • 治療の適応はレーザー治療とほぼ同様。効果に関しては現時点では不明であるがほぼ同様と思われる。

  *参考治療費用 レーザー治療(PLDD) 自費診療でおおよそ40~50万円

これから症例の蓄積が行われはっきりとするでしょう。

 

 

 

腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法 ヘルニコアについて

腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法が行われるようになりました。椎間板内に薬剤「商品名:ヘルニコア」を注入すると椎間板内の保水成分が分解されて椎間板内圧が減少する機序によりヘルニアによる症状が改善するというものです。本治療を行うには下記の要件を医療施設が満たしていなければなりません。もちろん京都第一赤十字病院は本条件を満たしております。

[医師要件] 以下①~②を満たす医師とする。①日本脊椎脊髄病学会指導医、その指導下にある医師、もしくは本剤の治験に参加した医師、 ②椎間板穿刺経験がある、もしくは腰椎椎間板ヘルニア手術 50 例以上の経験がある医師
[施設要件] 以下①~④を全て満たす施設とする。
①X線透視設備(C-アームなど)があり清潔操作のもと本剤を投与可能な施設
②ショック・アナフィラキシーに対応可能な施設
③緊急時に脊椎手術ができる、または脊椎手術ができる施設と連携している施設
④入院設備がある施設

消費税増税再々延期

消費税増税の施行が再々延期されるとのニュースに、世間では目先の増税が延期されて良かったという意見が多い様です。しかし、私は少子高齢化対策、高騰する医療費、年金などへの財源がなくなることが気がかりです。さらに将来この延期のつけが子供達にのしかかってくることに大人たちが気づかぬふりをしている様にも感じます。それにしても政治家はいとも簡単に前言(公約)を撤回できる職業なのだとつくづく思わされました。医療現場では患者への説明を撤回することなどあり得ません。われわれは常に第3者の厳しい目で評価されていることを忘れずにキチンとした責任ある医療を提供していきたいものです。

腰痛のトリアージ 何もしなくても治る腰痛とそうでない腰痛

みなさんは、急激な腰の痛みに襲われたならどうしますか?

腰痛で、立つこともできなくなると、自分の体に何かただごとでない問題が起こったのではないかと不安な気持ちでいっぱいになりますね。病院に駆けつけて、詳しい検査を受けて原因を突き止めたいという衝動に駆られますね。でも多くの腰痛は原因が明らかでないことが多く、その割合は85%にものぼるといわれています。そしてその多くが、なんの治療もしなくても自然に症状が治まっていくのです。

腰痛があるからといって、全ての患者さんに詳しい検査をすることは、非常に無駄で効率の悪い状況となります。さらにその検査や治療に多くの医療費がかかるのです。現在、日本国は多くの借金を抱えており、政府は国の借金を減らすために、医療費を抑制しようとしています。そんな中で、全ての腰痛患者さんに同じように検査を行っていたのでは国の財政は破綻してしまします。

そこで考え出されたのが腰痛のトリアージです。腰痛の中にはがんや骨折などそのまま放っておくと重篤な障害や生命に危険を及ぼす事態につながる可能性のある疾患が潜んでいます。しかし、前述したように腰痛の85%は原因のはっきりしない非特異的腰痛ですので、全ての患者に詳しい検査を行う必要はありません。そこで腰痛の診断、治療の優先順位を決めておく事が重要です。腰痛の診断治療の優先順位を仕分けして行く事を腰痛のトリアージといいます。腰痛患者が初診した場合に必要な事は、注意深い問診と身体検査により、腰痛を以下の3つのカテゴリーにトリアージすることです。
①危険信号を有する腰痛
②神経症状を伴う腰痛
③非特異的腰痛

腰痛トリアージの中でも最も重要なのが、重病のサインを見逃さない事です。腰痛ガイドラインでは重篤な疾患を見逃さないための、腰痛症状の危険信号(レッドフラッグ)を定めています。
腰痛の危険信号(レッドフラッグ)
「レッドフラッグ」というのは、転移性脊椎腫瘍、脊髄・馬尾腫瘍、化膿性脊椎炎、椎体骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、閉塞性動脈硬化症、馬尾症候群などの存在を疑わせる危険信号のことです。
全腰痛患者に占める割合は1~5%でしかありませんが、絶対に見逃すわけにはいきません。具体的にはこういうサインがあります。
発症年齢が20歳未満または55歳以上
時間や活動性に関係のない腰痛
胸部痛
癌、ステロイド治療、 HIV感染の既往
栄養不良
体重減少
広範囲におよぶ神経症状
構築性脊柱変形
発熱

危険信号については腰痛診療ガイドライン2012 日整会、日本腰痛学会より転載しました。

上記の条件に当てはまらない、腰痛の時はじっくり慌てず様子をみることがいいでしょう。巷では整体、鍼、灸などの手技による医療類似行為で腰痛が治ったと喜ぶ人がいますが、何もしなくてもこれらの腰痛は治ります。一度試してみてはいかがでしょうか?

診療報酬改定2016 湿布処方の制限 一度に70枚まで

湿布の処方枚数が制限されます!

厚労省は今回の診療報酬改定(診療や治療にかかる費用の改定)で一回の受診で処方出来る湿布の枚数を70枚までに制限することを取り決めました。

1日2回貼り替えの湿布薬では

両膝と腰、首に症状のある患者さんで1日の湿布必要枚数を考えると、両膝で二枚✖️2回、腰には二枚貼ると、同じく二枚✖️2回、首には一枚貼付で我慢していただくとして一枚✖️2回で合計10枚が必要となります。処方制限が70枚なので一週間で使い切ることになります。

腰痛だけの患者さんの場合には、1日4枚が必要とすると、約17日分の処方になります。

慢性化した腰痛患者さんには1〜2カ月おきに通院としたいところですが、これからはマメに通院していただくか、不足分は自費で湿布を購入していただかなければなりません。

実は国(厚労省)は、この不足分を保険外(自費で購入)とするか、我慢してもらうことで医療にかかる費用を年間30億円程度削減しようと目論んでいます。

おそらく今後は治療に有効性の示されていないビタミン剤なども保険外診療となることでしょう。

外来診療で患者さんに、湿布の処方制限について説明する日々が新春から始まります。

 

医療類似行為による危害に遭われたら。

医療類似行為による危害について

私は脊椎疾患の専門医ですので、頚部痛、肩こり、腰痛の患者さんを多く診る機会があります。そのような患者さんの中には、マッサージ、指圧、整体、カイロプラクティックなどの医業類似行為を受けたが、症状がさらに悪化したということで初めて当方の診察を受けに来られる方がいます。ひどいものでは、これらの類似行為の施術後に上肢の麻痺症状が出現したケースも経験しています。本来このような事例は、刑法上の業務上過失障害に当たると思われるのですが、多くの患者さんは泣き寝入り状態のようです。被害を受けた人は速やかに医療期間を受診し、国民生活センターや消費者相談センターや警察に被害を報告すべきであろうと思います。 私はこれまで、このような報告窓口があることを知りませんでしたが、先日 NHKのクローズアップ現代でこの医療類似行為の危害についての特集があり国民生活センターの存在を知りました。再発防止に向けて、今後は、診療に訪れた患者さんの中で、医療類似行為の危害にあわれたと診断できるものは積極的に報告していきたいと思っています。

以下は国民生活センターからの情報の転載です。

国民生活センター(PIO-NET=全国消費生活情報ネットワークシステム)には、整体やマッサージ等、器具を使用しない手技による医業類似行為を受けて危害が発生したという相談が2007年度以降の約5年間で825件寄せられており、件数は増加傾向にあるようです。

相談の概要(国民生活センター調べ)をみますと

  • 「整体」や「カイロプラクティック」など、法的な資格制度がない施術を受けて危害が発生したと明確に判別できる相談が少なくとも4割以上を占め、法的な資格制度に基づく施術の相談に比べて多いと考えられた。
  • 危害程度の回答があった640件のうち498件(77.8%)は危害発生後に医療機関を受診していた。
  • 危害部位は、腰部・臀部(でんぶ)や首、胸部・背部が多かった。
  • 危害内容は、神経・脊髄の損傷、骨折、擦過傷・挫傷・打撲傷の順で多かった。
などとされています。
相談事例では、マッサージによって肋軟骨を骨折した例や、遺伝性の脊柱管狭窄があることを事前に伝えて、マッサージを受けたが全治3ヶ月の障害をおこしたなどが報告されています。
〜消費者庁の重大事故等に係る公表( http://www.caa.go.jp/safety/new_2015.html )より。〜
整体やカイロプラクティック等で健康被害にあわれた場合は速やかに医療機関を受診し、地元の消費生活センターにご報告ください。
医師の先生方へ。 これらの健康被害を診察された場合は速やかに国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」にご報告ください。 http://www.kokusen.go.jp/jiko_uketuke/index.html
医療類似行為による危害を防ぐために、みんなで取り組んでいきましょう。

診療報酬削減が必要な国家財政の状態ですが公務員給与は増えます。おかしくない?

政府は平成27年12月4日の給与関係閣僚会議と閣議で、2015年度の国家公務員の月給とボーナス(期末・勤勉手当)に関し、2年連続で引き上げることなどを求めた人事院勧告の完全実施を決めています。 勧告内容を盛り込んだ給与法改正案を来年の通常国会に提出する予定だそうです。

一方で経済財政諮問会議は、国家財政が持たないので社会保障費を削減する必要があると言っています。

なんだか話が矛盾していておかしくないでしょうか?

消費税を上げる前に、公務員の給与を下げるとか、国会議員の定数を削減するとかしないと、国民は納得できないです。

 

あなたは知らないうちに診療報酬不正詐欺に加担している?

 最近、診療所、歯科医院、接骨院などでの診療報酬不正詐欺が話題になっています。吉本の芸人や、元タレント女医などもそれらの詐欺に関与していたとの事で注目されています。多くは本人が知らない間に、治療者側が診療報酬を不正請求をしているようです。
 詐欺に加担した人(患者側)は、一度その医院、接骨院などを受診しただけで1万円程度のお金をバイト代のように受け取っていたようです。また詐欺診療施設は患者を紹介した人には紹介料を提供しネズミ講式に患者を集めていたようです。
 それらの詐欺行為を行っている施設は経営状況が悪かったり、1~2年で突然閉院するなどの特徴があるようです。
 多くの地方自治体や保険連合会は、保険医療を受けた患者に対して後日、その医療費を保険機関が医院にいくら支払ったかの明細書を送って告知をしているようです。従って患者は自己負担分の他に自分の治療費が医院にいくら支払われたかを知ることができ、チェックもできます。ですので自分が行った病院が水増し請求や架空請求をしているかは、患者さん側が調べればすぐにわかります。

 悪質な医療機関では不正請求や水増し請求を行っており、その不正請求額は年間1億円を超えているようです。

 みなさんも、自分の治療費、保険病名をきちんとチェックしてみてください。あなたも知らない間に詐欺行為に加担しているかもしれません。

XLIF(低侵襲腰椎前方固定術)について

XLIF 低侵襲腰椎前方固定術
当院でも本手術が施行可能です。
以下に手術の特徴、適応疾患などについて記載します。

手術の特徴
1. 手術の低侵襲化
身体の側方から小さな切開で手術を行うので、背中側の筋や神経に触れず、手術の傷による術後の痛みが軽減できます。
2. 神経モニタリングによる安全な手術
腰椎側方にある神経を損傷しないように電気刺激を利用した専用のモニターを使用し、神経障害の発生を減らす工夫をしています。
3. 神経除圧の追加が不要
傷んですり減った椎間板の高さを復元することにより、中等度の狭窄症であれば背中から直接的に行う神経除圧術を行う必要が有りません。この事により術中の脊柱管内神経障害や、術後の硬膜外血腫(神経の周りの出血)の発生を抑える事が出来ます。
4. 強力な脊柱変形矯正効果
椎間板高の復元により年齢とともに曲がってバランスを失った脊柱配列(側弯や後弯)を正常バランスに回復することができます。

手術適応疾患
腰椎不安定症、腰椎椎間板症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎変性側弯症、腰椎後弯症

当施設での手術の実際
You Tubeにて動画を公開しています。
動画URL:http://youtu.be/66oueZgin-k

米国NuVasive社提供動画
動画URL:http://youtu.be/BXb4fde97YU

施行可能な施設
京都第一赤十字病院 整形外科

京都脊椎脊髄なんでもクリニック
http://spine-clinic.jp/
http://www.osawa-clinic.com/spine/index.html
http://www.kyoto1-jrc.org/shinryo/seikei/index.html

大病院の初診料  紹介状無しで全額負担に?

京都第一赤十字病院整形外科は平成26年4月から紹介状のない初診患者様の受診制限を始めています。
これは当院の本来の機能である高度で専門的な医療を行っていくために、院内のマンパワーを外来機能から入院手術治療部門へ集中するためです。本システムの効果の検証はまだ出来ていませんが、外来では手術などの専門的治療を必要とする個々の患者様への診察時間が十分にとれるなど当科勤務医からは好評なようです。

今回、厚労省は紹介状なしの大病院受診、初診料を患者の全額負担とする案を審議するとしています。これは前述したように大病院の勤務医に本来の高度で専門的な治療に専念してもらおうという意図があります。
審議の結果早ければ2016年4月をめどに導入する方針で来年の通常国会に法案を提出する方針のようです。
消費税率引き上げ分を医療介護などの社会福祉費に充当するとされているのに、さらにこの上に極端な負担増加を国民にもとめる策なので世論の反発は必至でしょう。法案が国会で通るとは思えませんが議論を注視していきたいと思います。

具体的には紹介状を持たずに大病院を受診した場合
初診料2820円が全額自己負担になります。さらに当院の場合特定療養費も追加されますので合計8070円の負担がかかります。これに検査や、治療の費用が上乗せになると大変な負担になります。