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腰部脊柱管狭窄症

歩くと足がしびれて痛くなる。
病気の原因は?

脊柱管内には脳から連続した脊髄神経が走行しており、脳からの重要な指令を伝達しています。腰部脊柱管狭窄症ではその脊柱管が細くなり、神経が圧迫され機能障害が起こります。狭窄の原因の一つはクッションの役割をはたしている椎間板の老化現象で、椎間板は脊柱管に向かい膨隆します。そして椎間板(クッション)ががたつくことにより椎間関節が変形肥厚したり、骨のトゲを作ったりします。さらに脊柱管内の靭帯が厚くなることで神経が圧迫を受けます。圧迫を受けた神経は十分な血流がえられず機能が果たせなくなります。

症状は?

症状は腰痛(重だるくうずくような痛み)座骨神経痛、間歇跛行、下肢しびれ、歩行障害、排尿障害などがあります。間歇跛行とは歩行により下肢にしびれや突っ張り、神経痛などが生じ、継続して歩行を続けることが困難になっても、座ったりしゃがんだりして休憩すると症状が改善し、再び歩行が可能となる状態をいいます。ほっておくと次第に歩行障害が進展する人もいます。肛門周囲に痺れのある人は、ひどくなると排尿障害をきたします。
当院では年間260件を超える脊椎手術が行われますが、本症が約40~50%を占めています。
詳しくは、日本脊椎脊髄病学会ホームページをご覧ください
http://www.jssr.gr.jp/jssr_web/html/sick/index.html
 

検査や診断法は?

まず患者様のお話から、いつ・どんなときに・どんな格好で・どの部分に痛みやしびれが生ずるかを聞いて、反射・知覚の異常・筋力の低下を診察すれば、ほとんどの方が診断可能です。レントゲン撮影、MRI撮影(磁気共鳴画像)、電気生理学的検査や下肢血流検査を行えば、診断が確定され、治療方針も決定されます。
腰椎MRI検査からみた脊柱管面積と症状の関係

手術以外の治療法(保存療法)は?

治療は薬物療法(消炎鎮痛剤・血流改善剤・筋弛緩薬・ビタミンB12など)、点滴、コルセット、神経ブロック療法・日常生活指導などの保存療法を先ず行い、経過を観察します。保存療法に抵抗性で、日常生活動作、趣味などに支障を来すようになった場合、排尿障害のある場合には手術療法が選択されます。

手術方法は?

顕微鏡視下に、神経を圧迫している骨や靭帯を部分的に削り取ります。当院では低侵襲除圧術(術中動画参照)を行っており、従来法に比較して患者様に負担が少なくなっております。術後は原則的に簡単なコルセットをつけて手術後翌日から歩き、10~14日で退院が可能です(当院クリニカルパス参照)。ただし腰痛が主体の症状の有る方や、脊椎に不安定な要素が強い方は、骨を移植した固定術が必要で、金属による固定を併用することもあります。術後はコルセットを3ヶ月使用します。
 
腰部脊柱管狭窄症 手術動画
 
 

ある患者様の治療
からだにやさしい腰の治療をめざして

京都第一赤十字病院 整形外科 部長 大澤 透
 
 整形外科で主に脊椎脊髄病を専門に診療にあたっております大澤です。
 今年のはじめ、あの超多忙なことで知られる某テレビ番組の司会者MM氏が腰部脊柱管狭窄症という疾患で手術を受けられたことは記憶に新しいことと思います。手術後短期間で番組に復帰され、周囲の人たちのみならず、日本国民の多くが驚いたものでした。このことでもおわかりいただけるように、脊椎外科における最近の手術手技の進歩はめざましいものがあります。ズバリ!内視鏡技術や顕微鏡手術の導入による患者様にやさしい低侵襲手術が、最近の治療の基本戦略です。当院におきましても、積極的に本技術の導入に努めています。
 さて、このMM氏が患った腰部脊柱管狭窄症は、高齢化社会を迎えた現在、とみに患者数の増加が著しい疾患であり、当院にも数多くの患者様が受診されています。歩いたり立ったりしているだけで腰から下肢にかけて神経痛やしびれがでて患者様を悩ませる病気です。内服加療や物理療法などでは効果の十分でない方が手術適応となります。中には80歳を超える方々もおられます。
そのうちのお一人、Sさんの例をご紹介いたしましょう。Sさんは御年83歳であります。1年あまり外来通院され保存的治療に限界が見え始めた頃、とうとう手術を決断されました。いつも奥様を連れて来院される、とても仲のよさそうなおしどり夫婦です。術前には「足腰が痛くなって家内について歩くことができない、買い物に一緒にいけない」と悩んでおられたのですが、術後3日目には院内を歩いておられ、その段階で症状が改善していると実感されていました。術後2週間の退院時には「これからの人生を楽しみますよ」と笑顔でおっしゃられました。人生を楽しむ、生きることの喜びを再び取り戻すことができたという気持ちが患者様から伝わってきました。多くの高齢者が、手術に消極的になられることが多いなか、積極的に人生を生きようとしているSさんの姿に感銘を受けました。本疾患は直接命に関わることがなく、安静にさえしていれば症状がおさえられるため、患者様は家に閉じこもりがちになっていきます。そんなとき、少しのお手伝いをさせていただければ、社会復帰し、人生を取り戻すことができるのです。
 手術は顕微鏡視下低侵襲手術を取り入れており、腰背筋を傷めることなく術野を展開し(MILD法: Muscle preserving interlaminar decompression, 八田ら, Medical Postgraduates 2004;42:88-94)、安全かつ体にやさしいものです。入院期間は2週間です(当院クリニカルパス参照)。症状にお悩みの方、人生の再出発を考えている方がおられましたら、まずはご相談ください。正確な知識を提供することから、治療ははじまると信じています。
 
京都第一赤十字病院 広報誌絆から引用
 

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